昭和26年3月30日、故大賀一郎博士らにより、千葉県検見川の泥炭層下4.8メートルの青泥層から古代の丸木船と一緒に3粒のハスの実が発見されました。このハスの実は大賀博士の手により同年5月に発芽し、翌年の7月19日に桃紅色の大輪の花を咲かせたのです。この奇跡的な開花は広く内外に報道されました。その後、シカゴ大学のラジオ・カーボン・テストの結果、このハスの実は実は2000年以上も前のものであることが証明されました。この大賀ハス(別名古代蓮)は、市内の寿中央公園や郷土の森公園修景池のほか全国各地に分植されています。
大賀博士は岡山県吉備町の生まれで、東京帝国大学理科学植物学科を卒業後、82歳でこの世を去るまで、その生涯をハスの研究に捧げました。戦火に見舞われた博士は、昭和20年6月に府中へ転居してきましたが、在野の学者であったことなどから暮らしぶりは必ずしも楽とはいえず、府中の有志の人たちが援助し、研究を支えました。墓所は多磨霊園にあり、「ハスの花に神の栄光をたたえし大賀一郎兄ここに眠る 復活のラッパの鳴らん時まで」という碑文が刻まれています。
郷土の森公園修景池のほとりには、ハスを見守るように大賀博士の胸像がたっています。